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春の彼岸会 [法要]

 ついこの間お正月だったのに、もう春の御彼岸を迎えましたね。コロナ騒動で小中高校への全国一律の休校要請があり、中国から部品が届かない影響や外国からの観光客が来日しないなどから始まり、日本でも実体的な経済活動がほぼ停止状態になりました。世界経済を部品製造で下支えし、巨大消費地でもある中国が動けないことから経済活動への不安が起こり、アメリカでの株安が大きな波となってさらに経済への信用不安も引き起こしています。

 日本ではそれ以前に韓国との貿易に関する争いがあり、それに加えての入国制限で、中国韓国からの観光客は激減しています。九州でも今やインバウンドによって成り立っている観光地がほとんどと言っても過言ではありませんし、デパートも免税品の顧客として当てにしていた人の往来がなくなって、商機の目処が立たなくなっているのではないでしょうか。

 今回のコロナ騒動は思いがけない程のインパクトを与えています。新型であるが故に感染や毒性への不安があり、いつまで続くのか、いつ頃終息するのか等々、不安の種は尽きません。

 そういった不安が社会に蔓延しているときだからこそ

 政治家には国民に安心を与え、先に進もうという意欲をおこさせる務めがあり、具体的な施策を企画立案する権限が与えられています。
 よく政治家は「常在戦場」などと云います。当選しなければ(絶対的な権限を与えられる)議員の職に与らないのですから、「常に選挙を意識して働くべし」というくらいの言葉なのでしょうが、今回のようにさまざまな危機に当たってどう対処するのか、すべきなのか。

 「パンデミックが近い将来起こりうる」という概念はすでにあり、現実に2009年にもこの国を襲いました。その知見を元に、政治・医療・経済などのシステムがどう作動したら、感染者や患者を少なくできるのか。まさに「常に危機にどう対処するか」を考えておく必要があり、それがシンクタンクの存在意義だろうと思います。それこそ、森羅万象を分析し対処法を段階的にセットしておく頭脳と場所が必要なのです。今回の騒動で学ぶべきは、法律を泥縄で作るよりも、常に置かれた立場を考え命令し行動できるシステムを作らねばならない、ということですが、

 フランス文学者で武道家の内田樹氏はそのコラム(人口減社会の未来学)で、『日本社会には最悪の事態に備えて「リスクヘッジ」をしておくという習慣がないということです。ただ、誤解して欲しくないのですが、僕はそれが「悪い」と言っているわけではありません(そんなこと今さら言っても仕方がありません)。そうではなくて、どんな場合でも、日本人は「最悪の事態」に備えてリスクヘッジする習慣がなく、そういう予測をすること自体を「敗北主義」として忌避するという事実を勘定に入れてものごとを考えた方が実用的ではないかと言っているだけです。日本人というリスクファクターを勘定に入れておかないと適切なリスク管理はできない。』

 危機につきもののデマによる買い占めもありました。気候変動による大災害や環境問題も、すでに頻発しています。食糧危機やエネルギー危機もあり得る話です。

 もし政治家にその気が無くて政権に危機対処能力が蓄えられないなら、個々人はどうできるのか?ですが、「最悪の事態は起こりうる」ということをどこか胸の奥に置いておく、という方法しか無いのではないでしょうか。それが釈尊の時代から続く「今を生きる」という生き方のような気がします。

 最悪の事態は起こりうるが、個々のいのちはもとより集団的ないのちと記憶を伝えよう、なにがなんでも続けるんだという強い意志を共同体が固く強くしっかりと持っていれば、厳しい時代があっても一縷の望みを次世代へ託すことができるのではないか。

 人はなかなか理性的に生きられないから、せめて御彼岸の間は心を清め、妬みや貪りの思いをなさないようにしよう・・・怒りや貪りは他人だけでなく自分をも滅ぼしてしまうのだから。日本に限らず、個々のいのちと生き方に深い思いをいたさない人生は虚しいですね。



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  消毒薬とマスクとお土産と用意して


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 彼岸法要営みました。予想を裏切る多くの方のお参りがありました。














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kiyokiyo

gonntanさん
こんばんは!
お彼岸ご法要に多くの方がいらっしゃったんですね^^
お疲れさまでしたm(__)m

歴史や過去の経験によりリスクヘッジをすることは、一般企業ならば当たり前のことなのです。
しかし、わが国の政治家は「喉元過ぎれば」の方が多いようですね。
スーパー堤防など自らの利益に繋がることには異常に知恵が廻るようなのですが。

今日も勉強をさせて頂きました。
ありがとうございます。
「今を生きる」僕も考えてみようと思います。
by kiyokiyo (2020-03-21 22:41) 

momotaro

お坊さんのお経は素人にはよくわからないものですが、ご上人様のこの解説は大変よく分かります。
「今を生きる」生き方のご示唆も素晴らしい。
オリンピックのことと、選挙目当てのことしか政治家は考えていませんからね。
こういう教えが大事ですね。
お忙しい中、敬服します。
by momotaro (2020-03-22 06:08) 

gonntan

kiyokiyoさん 地元に金を落とすことなら選挙対策で誰にでも出来ますが、だからこそ近視眼的になってしまうんでしょうね。百年の計が立てられない。

momltaroさん お経は釈尊のお説教の場面なので、そのように場面設定分かれば、そう難しいことではないと思いますよ。
by gonntan (2020-03-22 18:57) 

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